外資で高まる不安=対中投資は半減―反スパイ法1年
【北京時事】中国で改正反スパイ法が施行されて1年。外国人の拘束事件が起きる中、中国との関係が冷え込んでいる日本や欧米の外資企業では、社員が標的になりかねないとの不安からビジネス意欲が低下。世界の対中直接投資は1年間で半分以下に激減した。
「中国に赴任したい人が減った」。北京に駐在する日系大手メーカー幹部はこうこぼす。後任が見つからず、駐在員の任期を延長するケースも発生。本社の役員が訪中を控えるようになり、投資先として中国が選ばれにくくなっているという。
中国に拠点を置く日系企業の団体、中国日本商会が今春行ったアンケート調査では、対中投資に消極的な回答が全体の半数近くに上った。欧米企業の投資意欲も衰えているとされ、欧州メディア関係者は「中国経済の減速が最大の要因だが、それだけではない」と影響を示唆した。
中国政府は昨年、反スパイ法の運用に関する外資向けの説明会を開催し、企業の不安払拭を図った。ただ、この1年だけでも日米欧とつながりのある人々が相次ぎ拘束された。ある日系機械大手は中国滞在中の注意点をまとめた資料を作り、「社内で共有している」(広報)という。
中国では7月から当局が個人のスマートフォンを検査できる新ルールが導入されるほか、現地従業員の権利拡大につながる改正会社法も施行。一方、日本人向けビザの免除措置は停止されたままだ。6月下旬には江蘇省蘇州市で日本人母子らが刃物で襲われる事件も発生。中国離れがさらに進むと懸念されている。
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