成就した3年前の誓い=村竹、パリ切符かみしめる―陸上日本選手権・男子110障害
雨にぬれたトラックが、パリへの滑走路になった。男子110メートル障害決勝。村竹は実力通りに優勝し、天を仰いで静かに五輪行きをかみしめた。「やっとスタートラインに立った」。喜びを抑えたのは、世界の猛者と勝負する決意の表れだった。
3年前の東京五輪代表入りを懸けた日本選手権は、不正スタートで失格。走れなかったレースを目に焼き付け、パリ行きを誓った。この日は当時を思い返すことなく、大一番に臨んだ。「3年間の自信の積み重ねが、気持ちに余裕をもたらしてくれた」
雨が降る中、1台目のハードルに足を当てた。そこから立て直して後半で抜け出すと、自己2番目の好記録13秒07をマーク。東京五輪銀メダル相当のタイムにも「正直もっと出たかなという感じ。記録はあまりうれしくない」。前日の準決勝は13秒14で、高いレベルでの安定感が身に付いてきた。
2022年世界選手権は予選敗退に終わり、23年はけがでシーズン前半を棒に振った。満を持して、22歳のホープが五輪に挑む。「決勝進出が目標。メダル争いにも加わりたい。積み重ねてきたものを糧に、逆襲できたら」と力強く決意を口にした。
[時事通信社]
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