パンダ保護で町おこし=経済効果、投資の10倍超―中国
中国でジャイアントパンダの保護活動を町おこしにつなげようとする取り組みが広がっている。ふるさとの四川省ではパンダの飼育施設が相次いでオープン。一部は公開され、観光客の呼び込みに寄与している。保護活動に伴う経済効果は、その投資額の10倍超に上るとも報じられている。
60頭以上のパンダを飼育する四川省雅安市の碧峰峡基地を6月中旬に訪れると、園内は観光客でにぎわっていた。上野動物園から昨年2月に返還された雌のシャンシャンも暮らしており、その前にはとりわけ多くのファンが集まった。当日は7歳の誕生日だったこともあり、日本からのツアー客や個人客の姿も目立った。
日本などのパンダ人気が中国にも伝えられたことで、中国ではパンダブームが再燃。現地メディアによると、今年5月上旬の連休に同基地など雅安市内の主要な観光地を訪れた旅行者は、前年同期比で2桁増加した。
経済効果への期待も高まる。政府系メディアは、パンダの保護活動に伴って生じる利益は「投じた額の10~27倍に上る」との試算を紹介。より多くの集客が見込める北京や上海でも飼育施設の整備が進んでいる。
一方、ある欧州メディアの記者は「中国は(保護活動を)過度に観光化している」と批判した。中国当局もこの問題を認識しており、雅安で最近開園した別の施設は、1日の入場者数を制限した上で観光客の受け入れを始めた。
中国では注目の集まりやすいパンダに国の資金が集中しがちなことも課題の一つ。政府関係者は「資金がなければ保護はできない」と強調。生態系の維持に向け、難しい問題に直面していると打ち明けた。 (雅安=中国四川省=時事)
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