観光公害解消なるか=人数制限、通行料導入―1日シーズン入り・富士山
![ご来光を待つ登山者で混雑する富士山頂=2023年8月(山梨県提供)](https://img.sp.m.jiji.com/image/out/20240629at05S_p.jpg?updated=1719571296)
富士山では7月1日、山梨県側の吉田口登山道が開通し、夏山シーズンに入る。外国人を含む登山者増加による登山道の混雑解消に向け、県は1日当たり4000人の人数規制と1人2000円の通行料を導入。インターネットを通じた事前予約システムを運用し、5合目付近に仮設ゲートを設置した。記録的な円安を受けて各地で訪日客が増加する中、「オーバーツーリズム(観光公害)問題の正念場」(長崎幸太郎知事)と位置付ける規制の効果が注目される。
昨年の夏山シーズンの登山者数は約22万1000人で、コロナ禍前の水準近くまで回復した。全4ルートあるうち吉田口が6割を占めており、夜間の山頂付近では、ご来光を見ようとする人々で激しく混雑。危険な追い越し行為や登山道での仮眠といったマナー違反や、徹夜で山頂を目指す「弾丸登山」などが問題となっていた。
そこで県は5合目付近にゲートを仮設。通行料を支払った登山客にリストバンドを配布し、1日4000人(山小屋宿泊者を除く)を超えた場合は閉鎖するほか、午後4時~午前3時は閉門して弾丸登山を防止する。手続きを円滑にするため、3000人分は通行料を事前決済する予約枠とし、残る1000人を当日受付枠とした。
県によると、人数制限は、過去の統計から「著しい混雑」が発生しない人数として4000人に設定。2000円は警備や登山者の安全確保にかかる経費を1人当たりで割って算出した。
ただ、昨年は4000人超は5日間にとどまったが、それ以外の日でも混雑が起きており、「動けなくなる人やトイレにこもり寒さをしのぐ人もいた」(山小屋関係者)。それでも、県の担当者は「登山客の分散化は期待できる。必要があれば今後、基準の見直しも視野に入れる」と話す。
一方、7月10日に開山する静岡県側は任意の事前登録システムを導入したものの、人数制限や通行料徴収は見送った。県は「一定の入山規制は必要」(鈴木康友知事)との考えだが、3ルートあることなどから山梨側と同様の規制は難しい状況だといい、担当者は「今年度の両県の結果次第で、対策の強化も検討する」と話している。
[時事通信社]
![富士山の吉田口5合目付近に設置された仮設ゲートを確認する作業員=17日、山梨県富士吉田市](https://img.sp.m.jiji.com/image/out/20240629at04S_p.jpg?updated=1719571296)
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