厚労省の問い合わせで発覚=小林製薬側から報告なし―紅麹問題
小林製薬の「紅麹(べにこうじ)」製品を巡る健康被害問題で、摂取との関連が疑われる死者数が新たに76人と大幅に増えた。同社は3月に「5人」と公表して以来、厚生労働省に報告をしておらず、今回の発覚は同省からの確認がきっかけだった。
厚労省によると、同省は被害情報について小林製薬から毎日聞き取りをしていた。しかし3月以降、死者数の更新がないため、今月13日に同社に問い合わせたところ、「ない」と回答があった。
ところが翌14日、一転して「調査中の事例がある」と連絡があった。27日に170人の死者についての相談があったことが判明し、28日、うち76人について調査中と報告。武見敬三厚労相が急きょ会見して公表した。
小林製薬は28日に公表した資料で、これまでは「原因が腎疾患と診断されているケースを報告対象としていた」と説明した。ある厚労省幹部は「3月の時点で、因果関係が不明でも早く報告するよう指示していた。会社側に伝わっていなかったのは心外だ」と話す。
会見で武見厚労相は「(調査を)小林製薬だけに任せておくわけにはいかない」と不信感をあらわにし、今後はより細かく指示を出す方針を示した。
小林製薬が紅麹製品を巡る被害情報を初めて公表したのは把握から約2カ月後で、当初から対応の遅れが指摘されてきた。この問題をきっかけに機能性表示食品制度の見直しも進み、消費者庁は届け出事業者に対し、9月1日から健康被害情報の報告を義務化する方針だ。
[時事通信社]
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