立・共、75選挙区で競合=カギ握る野党の受け皿づくり―次期衆院選、立・維は100超
自民党派閥の裏金事件による追い風を受け、野党第1党の立憲民主党は次期衆院選に向けて「政権交代」を掲げる。ただ、カギとなる反自民票の受け皿づくりは遅れ、共産党と競合する選挙区は75。日本維新の会とは105に上り、ハードルは高い。
「立民は自民党ではない政権をつくる大きな責任を担っている。『一緒に戦おう』という党があれば話をしたい」。立民の泉健太代表は21日の記者会見で、「非自民」政権樹立に向けた野党各党との協議に意欲を示した。
今年4月の衆院3補欠選挙で立民は共産の協力を得て完勝し、政権に打撃を与えた。共産の田村智子委員長は東京都知事選でも「市民と野党の共闘」を訴える。
23日閉幕の通常国会では、立民が提出した岸田内閣不信任決議案に維新と国民民主党も賛同。共産を含む4党の足並みがそろった。
ただ、共闘への深入りは「もろ刃の剣」になりかねないとの懸念が立民側に強い。
2021年の前回衆院選で立民は共産、国民、れいわ新選組、社民党と289小選挙区中213で候補者を一本化。共産とは政権獲得時の「限定的な閣外からの協力」で合意し、両党の競合区を48に抑えた。
だが、自民に「立憲共産党」と攻撃されて敗北。野党統一で臨んだ213選挙区の勝率は28%にとどまった。中道票の離反が要因とされた。
このため、泉氏は「共産の政権入りは想定していない」と繰り返し、一線を画す姿勢を強調する。一方の共産は「政権合意」や「政策合意」が候補者調整の前提だとする立場を崩さず、協議の見通しは立っていない。
源流を同じくし、泉氏が「兄弟政党」と呼ぶ国民との距離も縮まらない。玉木雄一郎代表は、共に政権を担うには原発や憲法など基本政策でのすり合わせが必要だと主張。泉氏は協議に前向きだが、「脱原発」など立民の持論を重視する党内リベラル派は消極的だ。
野党第2党の維新とは糸口すらつかめていない。「改革保守政党」を掲げる維新の馬場伸幸代表は、泉氏と並んで出演した21日のBSフジの番組で「立民が共産のクモの巣に絡め取られている」と断じた。立民とは協力せずに野党第1党の座を目指す方針だ。
こうした状況に、立民内からは泉氏の指導力不足との批判が出ている。小沢一郎衆院議員は18日、記者団に「きちんとした態勢をつくれる執行部でなければ駄目だ」と述べ、代表交代の必要があるとの認識を示した。
[時事通信社]
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