取り調べに淡々、後悔の言葉無く=手付かずの夕食、「子の前で刺した」―元夫、母子4人死亡・警視庁
東京都品川区戸越の住宅で母子4人が死亡した事件で、住民の介護福祉士高波冬美さん(37)への殺人容疑で逮捕された元夫の無職後藤祐介容疑者(46)は、警視庁の調べに対し、反省や後悔の言葉を口にすることなく、「怒りを抑えきれず、包丁で突き刺して殺した」などと淡々と供述している。逮捕から1日たった20日、事件当時の様子が徐々に明らかになってきた。
死亡した高波さんと小学1年の長女後藤鈴さん(6)、保育園児の次女玲ちゃん(3)、長男信ちゃん(2)は5月23日、近くに住む高波さんの母親に発見された。住宅は当時、完全に施錠されていた。
捜査関係者によると、事件は同22日午後7時ごろ起きたとみられる。後藤容疑者は「子どもたちの目の前で高波さんを刺した」との趣旨を供述。逃げ回る子どもたちを追いかけて襲った可能性もあり、リビングの食卓には手付かずの夕食が残されていた。
事件の背景には、夫婦間のトラブルがあったとみられる。後藤容疑者は今年に入り、高波さんから離婚を切り出され、同20日に離婚届を提出。数日以内に退去することが決まっており、早く出ていくようせかされていた。
後藤容疑者は「子どもに別れのあいさつをしたいと言ったが、『すぐに父親がいないことに慣れる』などと拒まれた」「怒りが抑えきれなかった」と説明。高波さんを殺害後、「母親が死んで父親が捕まるとかわいそうだ」と考え、3人のわが子を手にかけたと供述している。
「今まで見てきた中で、一番つらい現場だった」。ある捜査幹部は血で染まり、すすだらけの室内を思い浮かべ、こう漏らした。別の捜査幹部は「子どもたちに何の罪があるのか。かわいそうだというのは勝手な思い上がりだ」と憤る。
警視庁は19日、やけどを負って入院していた後藤容疑者を逮捕した。子ども3人の殺害や住宅への放火についても供述の裏付けを進め、立件する方針。
[時事通信社]
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