維新「独り相撲」、他党冷ややか=自民案に一転反対、世論読み誤り
日本維新の会は自民党の政治資金規正法改正案について、参院採決で反対に転じた。自民との修正合意に対する世論を読み誤り、衆院と参院で賛否をたがえる迷走を見せた。さらに自らを正当化しようと岸田文雄首相(自民総裁)への問責決議案も提出。他党からは「分かりにくい」(自民の森山裕総務会長)などと維新の「独り相撲」に冷ややかな声が相次いだ。
「信義を損なったのは自民党だ」。維新の馬場伸幸代表は18日の記者会見で、維新が重視する調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)改革で自民が今国会での法改正を見送ることへの批判を展開。「(合意文書に法整備の)日にちが書いていないからやらなくていいという理屈は全く通用しない。国民に対する裏切りだ」と怒りをぶちまけた。
自民派閥の裏金事件が発覚して以降、政権批判を強める立憲民主党と比べて維新の存在感は低下。4月の衆院3補欠選挙でも、独自候補を擁立した2選挙区で立民に惨敗し、次期衆院選で立民から野党第1党の座を奪うとした目標の達成が困難との見方が広がっていた。
こうした中、維新は自民との規正法修正に応じることで主導権を取り戻そうとした。馬場氏は5月末の首相との党首会談で、(1)旧文通費改革の立法措置(2)政策活動費の領収書10年後公開―などを明記した文書に署名。馬場氏は「非常に大きな前進だ」と自画自賛した。
ただ、この修正案は早々に、政策活動費の支出が50万円以下の場合は領収書の公開対象外という「ざる」が露呈。維新は衆院採決の直前で自民に再々修正を受け入れさせたが、報道各社の世論調査では修正合意を「評価しない」との回答が6~7割に上った。党内からも「自民に擦り寄ったとしか見えない。改革を勝ち取ったとはならない」(党関係者)との不満が漏れ、執行部は追い込まれていった。
維新が参院で自民案に反対する理由を探していたとの見方もある。国民民主党の玉木雄一郎代表は18日の会見で「(修正合意が)あまりにも評判が悪いので、何とか理由を探して反対したということなのだと思う」と指摘。維新関係者は「文通費という理由が都合よく見つかってよかった」と語った。
ちぐはぐな維新の動きに、自民幹部は「党首間で合意した後に(合意を)さらに変えてくれなんて言ってくるのは維新のガバナンスの問題だ」とあきれ果てた。立民ベテランも「馬場代表の責任問題だ」と批判した。
党内外の厳しい目を意識してか、維新の吉村洋文共同代表(大阪府知事)は18日、大阪市内で記者団に「(執行部は)修正合意に至る経緯について説明し、総括する必要がある」と訴えた。
[時事通信社]
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