中国自動車輸出が急増=3年で5倍、欧米と摩擦激化
中国の自動車メーカー各社が海外市場の開拓を急いでいる。2023年の輸出台数は491万台と、20年比で5倍に急増した。中でも政府が開発を後押しする電気自動車(EV)などの伸びは著しく、日米欧メーカーの強力なライバルに浮上。欧米では規制に向けた動きも目立ち始めた。
「中国のEV生産は不公平な補助金の恩恵を受けている」。欧州連合(EU)欧州委員会は12日に声明でこう結論付けた。EUは損害を受けているとして、来月から中国製EVに対する関税を最大48.1%に引き上げると表明。欧州での市場シェアは2割に達しているとされ、ある欧州メディア関係者は「地場メーカーが衰退するとの懸念が深まっている」と明かした。
江西省の省都・南昌を拠点とする中堅EVメーカーの江鈴集団新能源。5月下旬に工場を訪れると、省人化が進んだ生産ラインで従業員が黙々と作業に取り組んでいた。輸出先は中南米と中東、東南アジアを中心に約30カ国に及び、「欧州の国も一部含まれている」(担当者)。
中国勢はEVの動力となるリチウムイオン電池の技術力を強みとしており、製品の競争力は「他国より数歩進んでいる」(業界関係者)。専門家は輸出台数について「さらに伸びる余地がある」との見方を示す。
日本では、中国製EVの普及がそれほど進んでおらず、規制強化に向けた目立った動きは出ていない。ただ、最大手の比亜迪(BYD)が日本で矢継ぎ早に新モデルを投入し、攻勢を強化。先の幹部は「今は売れていないが、いずれ日本でも中国勢の存在感が高まるだろう」と身構えた。 (南昌=中国江西省=時事)
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