維新、旧文通費改革で甘さ露呈=会期末の波乱要因に
調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の改革を巡り、日本維新の会が詰めの甘さを露呈した。功を焦るばかりに自民党との合意文書に期限を明記しなかったためだ。今国会での関連法改正を迫る維新は、政治資金規正法改正案の参院採決で反対も辞さない構えで、会期末の波乱要因となっている。
「交渉相手の自民の方が『総理がはっきりやると言っているので、いつまでにやるとは入れなくていい』と言われた」。維新の馬場伸幸代表は14日のニッポン放送番組でこう釈明した。
馬場氏は5月31日の岸田文雄首相(自民総裁)との党首会談で「旧文通費の使途公開と残金返納を義務付ける立法措置」を行うとした合意文書にサイン。維新は主張が「丸のみされた」(馬場氏)として、規正法改正案の衆院採決で賛成に回った。野党第1党の立憲民主党が自民批判の受け皿となり、維新の存在感が薄れがちなことへの焦りがあったようだ。
雲行きが変わったのは6月11日に自民の浜田靖一国対委員長が関連法の改正について「日程的に厳しい」と発言したことだ。馬場氏は即座に「うそつき内閣」と猛反発し、浅田均参院会長は翌日の党会合で、旧文通費で成案を得られなければ「参院では当然反対だ」と明言した。
自民は静観している。首相は12日、「公党の党首間の合意は重たい。具体的な実現時期は合意文書に記載されていない」と無表情で語った。政府高官も「合意したことを粛々とやる。書いていない解釈を付け加えないでほしい」と不快感を示した。維新内でも「自民側の言い分が正しい」(関係者)と諦めの声が漏れる。
他の野党の反応も冷ややかだ。立民の泉健太代表は14日の記者会見で「馬場代表はかわいそうだ。水面下の話を公表したのはそれだけ怒りもあったのだろう」と余裕の表情。国民民主党の榛葉賀津也幹事長も「党首会談は何だったのか。自民はしてやったりだろう」と皮肉った。
[時事通信社]
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