G7、過剰生産に連携対処=声明「輸出規制の自制」要求へ―中国への対抗あらわ・サミット
【ファサーノ時事】先進7カ国首脳会議(G7サミット)は14日、経済安全保障問題について討議した。各国は、巨額の補助金を投じて電気自動車(EV)や半導体を過剰に生産、輸出する中国を強く警戒。こうした過剰生産や市場をゆがめる行為、経済的威圧に連携して対処していくことで一致した。重要物資の供給網強化にも取り組む。首脳声明では、半導体材料など重要鉱物の輸出制限を続ける中国への強い懸念も示す。
ロイター通信によると、声明案では中国に対し「重要鉱物の輸出規制を行わないよう求める」と明記。「非市場的な政策と慣行を懸念する」とも強調している。
中国のEV生産・輸出台数は2021年以降、加速度的に増えている。中国自動車工業協会によると、23年に新車全体の輸出台数はEVがけん引役となって491万台に急増。日本を抜いて世界首位に立った。
G7は昨年の広島サミットで、中国などとの「デカップリング(分断)」が深刻化するのを避けるため、特定国への依存度を下げる「デリスキング」を目指すことで一致。供給網の多様化によって経済安保上のリスクを軽減する姿勢を明確にしたが、選挙イヤーを迎えた米欧は、分断を助長しかねない保護主義の色合いが濃い政策を打ち出している。
欧州連合(EU)欧州委員会は12日、G7サミット開幕直前のタイミングを見計らったかのように中国製EVに追加関税を課す方針を公表した。5月には米国が対中制裁関税の引き上げを決めた。サミット前にバイデン米大統領と会談したフランスのマクロン大統領は「われわれは協調して行動しなければならない」と述べ、中国への懸念をあらわにした。
日本は広島での合意に沿って、今年5月にEUとの間で重要物資に関し、価格だけに注目しない「透明で持続可能な供給網」づくりで一致した。米中が半導体などの輸出規制でも応酬を続ける中、デリスキングの考え方を堅持し、「中国との対立を深める行為をけん制する」(関係筋)狙いがあったとみられる。
国際通貨基金(IMF)も、「分断化の進行など意図しない副作用を防ぎ、世界貿易機関(WTO)のルールと整合性を維持する」ことの重要性を指摘する。だが、経済的威圧を強める中国に対するG7の懸念は根強く、デカップリングへの回帰が強まっている。
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