雌のフェロモンの役割解明=ワモンゴキブリ、駆除剤に期待―福岡大
九州や沖縄など、温暖な地域に生息するワモンゴキブリの雌が出す性フェロモンの役割を解明したと、福岡大理学部(福岡市)の渡辺英博助教らの研究グループが発表した。成果は米科学誌「PNASnexus」電子版に掲載された。新しい駆除剤への応用も期待されるという。
これまで、雌が放つ性フェロモンは、主成分の有機化合物「ペリプラノンB」と副成分の「ペリプラノンA」で構成されることが分かっていたが、雄の行動への影響は未解明だった。
渡辺助教らは、遺伝子操作で雌の性フェロモンを感知できない雄をつくり、通常の雄と共にシャーレに入れた上、性フェロモンをシャーレに置いて、それぞれの行動を観察した。
その結果、シャーレ内に主成分を置いた場合、通常の雄は羽を動かすなど行動が活発化し、副成分を置くと、近くにとどまる傾向が見られた。遺伝子操作した雄は違う傾向を示したという。
渡辺助教は「雄は主成分を感知すると、雌を探すために活動的になり、副成分を感知した場合は、すぐ近くに雌がいると認識して行動範囲が狭くなるのでは」と分析。「性フェロモンを利用し、雄の行動を制御できる可能性がある。別の種のゴキブリでも調べたい」と話している。
[時事通信社]
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