2024-06-06 16:20スポーツ

失意経て強く明るく=中村、集大成の舞台へ―ラグビー7人制女子・パリの灯は近く

グラウンドを眺める中村知春=5月20日、埼玉・熊谷ラグビー場
グラウンドを眺める中村知春=5月20日、埼玉・熊谷ラグビー場

 経験と挫折を重ねた人間は強い。そう感じさせるのが、ラグビー7人制女子の日本代表を引っ張る中村知春(36)=ナナイロプリズム福岡=だ。自身2大会ぶりとなるパリ五輪に向け「過去の大会で怖さを味わったので、今回は平常心で臨める」と思いを口にする。
 法大卒業後にバスケットボールから転向。豊富な運動量で頭角を現した。主将で臨んだ2016年リオデジャネイロ五輪は、12チーム中で10位。失意をぶつけようとした東京五輪は、直前で代表から落選した。「むなしかった。視界の外から不意打ちされたような」。おなかがすけば食事はする。でも、一人で考え込んでしまう入浴時間が耐え難かった。
 精神的に落ち着いた21年9月。東京五輪で全敗だった代表チームに、コーチ兼任で復帰した。立て直しに夢中となり、気が付けば2度目の大舞台が目前に。「歩みを止めなければ前に進める。希望を持っていいと思えるようになった」とのみ込めた。
 持ち前の力強さは健在。昨年1月の国際大会では90メートルを独走してトライを決めた。プレーの幅が広がると共に、振る舞いも変わった。勝利に必要と妄信して周囲に厳しく接した8年前と対照的に、明るく冗談も飛ばす。「昔ならこんなふざけた年長者に切れていたかも。落選でいろんな人の気持ちが分かった」と笑う。
 頼りがいのある姿から、かつては「兄貴」と呼ばれた。後輩への気配りやおせっかいが増えた今は、「強いおばさん」を自称する。年間200日前後を費やす代表活動を続けてきた。「チームは私の人生そのもの。五輪で皆さんに何か伝えられたら、いい終わり方」。雪辱と集大成のパリ。心が躍る。 
[時事通信社]

タックルの練習をする中村知春(右)=5月20日、埼玉県熊谷市
タックルの練習をする中村知春(右)=5月20日、埼玉県熊谷市

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