2024-06-01 05:13スポーツ

野球伝来、定説より1年前か=NPB歴史研究者が発表

野球伝来について話す日本野球機構の伊藤修久さん=5月13日、東京都港区
野球伝来について話す日本野球機構の伊藤修久さん=5月13日、東京都港区

 100年以上の歳月を経て、日本への野球伝来の定説が覆されようとしている。新説を研究してるのは、日本野球機構(NPB)のヒストリアン(歴史研究者)を務める伊藤修久さん(60)。米国人教師のホーレス・ウィルソンが1872年に第一大学区第一番中学(現東大)の学生に手ほどきしたのが最初とされるが、それより1年前に「米兵が日本兵に野球を教えた可能性が高い」という筋書きにたどり着いた。
 伊藤さんは2017年、NPBに社会人野球草創期の選手だった人物から半世紀ほど前に届いていた手紙を発見。「明治時代初期に、米国水兵が大阪の外国人居留地で日本人と試合をした」との内容に驚き、関係者に聞き取りをするなど調査を開始。今年4月に米ニューヨーク州クーパーズタウンの米野球殿堂博物館で開催された学会で研究結果を発表した。
 伊藤さんは当時日本に入港した船の航海日誌や文献を調べ、1871年1月に巡洋艦コロラド号が神戸に停泊し、同艦の艦長と水兵らが大阪城内の大阪鎮台を訪問した事実を確認。試合をした場所は大阪の海の玄関口に位置する川口居留地と特定し、日本側は居留地を警備していた日本陸軍大阪鎮台の兵士たちだったという結論に至った。
 当時の大阪鎮台兵士は旧藩士で、いわゆる誇り高き侍。伊藤さんは起源はもとより、この事実に興奮を隠せない。「日本人で最初に野球をしたのが侍で、今の日本代表が侍ジャパン。因縁めいたものを感じる」。伊藤さんは今後、コロラド号の乗務員の遺族を探すなど、さらなる調査を進める計画だ。 
[時事通信社]

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