基本理念に「食料安保」を明記=自給率、低迷長期化―改正農基法
改正食料・農業・農村基本法(農基法)が29日、成立した。見直しの柱は食料安全保障の強化だ。食料の生産や流通が不安定になることへの懸念が高まる中、基本理念に「食料安全保障」の文言を盛り込んだ。政府は今後、施策の具体化を進めるが、食料自給率は長らく低迷しており、実現は容易ではなさそうだ。
国民の食生活の変化に伴って食料自給率(カロリーベース)は低調に推移し続け、2022年度は38%にとどまった。世界では人口増加に伴って食料需要が拡大しているほか、異常気象の頻発で毎年のように不作に陥る地域や作物もある。またロシアによるウクライナ侵攻を背景に、小麦の価格が急騰するなど、食料の多くを輸入に頼る日本の現状には不安がつきまとう。
今回の改正では、農基法に基づき5年ごとに策定する基本計画で掲げる目標について、食料自給率のほか、新たに「食料安保に関する事項」を加えた。今国会では、特定の食料が供給困難になった場合、状況に応じて増産の要請や計画作成の指示などができる仕組みを盛り込んだ関連法案も審議中だ。
岸田文雄首相は「輸入に依存する農産物の国内生産の拡大が急務だ」と強調するが、自給率は10年度以降、40%を割り込み続けており、構造転換は容易ではない。第一生命経済研究所の高宮咲妃副主任研究員は「食生活を急に変えることは難しく、国内産地を応援するなどの機運を高めることが必要だ」と指摘している。
[時事通信社]
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