対パキスタン、揺らぐ関係=テロに萎縮、経済不振で投資選別―中国
【北京時事】「鉄のように固い友情」と称される中国とパキスタンの関係が揺らいでいる。政治的な連帯に変わりはないものの、パキスタンの政情不安を受け、中国企業の対パ投資は萎縮。中国経済の低迷を背景に、投資選別の傾向も強まり、経済的なつながりが薄まりつつある。
中国は、自国と同様にインドとの領土問題を抱えるパキスタンとの関係を重視してきた。標高4000メートルを超える谷間を縫い、パキスタン北部と中国西部を結ぶ全長1000キロを超える舗装道路「カラコルム・ハイウエー」は中パ協力の象徴だ。難工事の末、1978年に完成。中国は建設工事や補修を全面的に支援した。
2013年以降は「中パ経済回廊(CPEC)」構想に基づき、パキスタンでインフラ整備が進められている。新華社通信によると、同国はCPEC絡みで22年末までに254億ドル(約4兆円)の直接投資を受け入れた。アラビア海に面する戦略的要衝、パキスタン南西部ではインド洋進出を目指す中国の協力で、グワダル港の開発が進んだ。
だが、パキスタンでは近年、中国人へのテロ攻撃が続出。政治の混乱も深まった22年ごろからは、「CPECの進展は著しく困難に陥っている」(専門家)といった論調が中国側で目立ち始めた。同年の対パ直接投資は前年比で22.5%減少。パキスタンでは中国に代わり、サウジアラビアなどに期待する声が強まっている。
投資の減少については「中国の戦略変更」が理由との見方も出ている。不動産不況が長期化し、経済低迷に苦しむ中国では、投資先は明確に利益を得られる事業などに絞るべきだとの声が広がり、中国の対外直接投資は21年以降、頭打ちだ。パキスタンへの投資や支援の一部は政治的な判断で決まっていたとの指摘もあり、優先的な見直し対象になっている可能性がありそうだ。
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