仕事と両立支援、企業に義務=改正育児・介護休業法が成立―働き方に選択肢、来春以降施行
仕事と育児・介護の両立を支援する改正育児・介護休業法などが24日、参院本会議で自民、公明、立憲民主各党などの賛成多数で可決、成立した。子どもが3歳から小学校に入学するまでの間、テレワークや短時間勤務、時差出勤などの制度を二つ以上用意し、従業員が選べるようにする制度の導入を企業に義務付けることが柱。介護を理由に離職する人を減らすため、支援制度の周知も徹底させる。家庭の事情によってキャリア形成が妨げられることのない社会の実現を目指す。
来年4月以降に順次、施行する。子どもが3歳未満の従業員がテレワークを選択できる制度の導入も努力義務とする。「残業免除」を申請できる期限は、現在の3歳までから小学校入学前までに、「看護休暇」は小学校入学前から小学校3年生までにそれぞれ延長。看護休暇は、入園式や学級閉鎖などの際にも取得できるようになる。
専業主婦世帯は減り続け、共働き世帯の割合は現在約7割に増えた。しかし、総務省の調査によると、6歳未満の子どもがいる世帯の家事時間は妻が1日当たり6時間32分と、夫の1時間57分の3.4倍だった。
育児休業の取得率も女性の80%に対し、男性は17%。期間は、女性の大半が6カ月以上なのに対し、男性は2週間未満が半数を超える。法改正により、男性の育休取得率の公表を義務付ける対象企業を従業員1000人超から300人超に拡大。期間が短く、子育てに十分に向き合えない「取るだけ育休」の解消につなげたい考えだ。
介護離職者は2022年の調査で10万人を超えた。働きながら家族を介護する人も364万人と増加傾向にある。企業は今後、従業員が40歳の時点で国の支援制度に関する情報を提供。介護が必要になった場合は、利用するかどうか個別に意向を確認しなければならない。
労働政策に詳しい第一生命経済研究所の的場康子主席研究員は、「育児や介護の経験もキャリアにとって大事な要素だ」と指摘。企業に対し、「男性も育休後にテレワークなどを利用できるよう働き方を変える工夫をしなければいけない」と訴えている。
[時事通信社]
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