インフレや中国の過剰生産議論=ロシア凍結資産活用へ前進も―G7財務相会議、24日開幕
![G7財務相会議の主なテーマ](https://img.sp.m.jiji.com/image/out/20240523ax10S_o.jpg?updated=1716521900)
【ストレーザ(イタリア北部)時事】先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議が24日、イタリア北部のストレーザで開幕する。ウクライナや中東などでの紛争とインフレ継続は世界経済の下方リスクとなっており、危機の回避へ、連携姿勢を強く打ち出したい考え。経済にゆがみをもたらすとして、特に米国が問題視する中国の過剰生産問題や、議論が続くロシアの凍結資産の活用方法でも一致点を見いだせるかが焦点だ。
日本からは鈴木俊一財務相と日銀の植田和男総裁が出席する。2日間の日程で、共同声明の採択を目指す。植田氏は開幕に先立ち23日、記者団に対し、世界経済の先行きは米国経済が軟着陸できるかが「最大の焦点だ」との認識を示した。「中東情勢など、いろいろその他のリスクはある」とも指摘した。
地政学上の問題は、供給網の混乱や食料・エネルギー価格高騰を引き起こし、インフレや低所得国の財政圧迫を招く。さらにインフレ抑制のため米国金利の高止まりが続き、円など各国通貨は対ドルで下落を続けている。4月下旬から5月初めにかけて計2回の為替介入を実施したとみられる日本は、4月の前回会議に続き、共同声明で為替安定の重要性を再確認したい意向だ。
中国企業が補助金を頼りに電気自動車(EV)や半導体などを過剰生産し、不当な低価格で輸出しているとして米国は制裁関税の引き上げを表明している。G7での議論を働き掛けるが、米大統領選を前に米国自身が国内産業の保護に傾いている側面も大きい。経済の分断を回避しつつ、多国間でこうした課題にいかに対処していくかが問われそうだ。
ウクライナ侵攻を続けるロシアの凍結資産の活用を巡っては、6月のG7首脳会議(サミット)に向け、凍結資産から発生する利息収入の活用を軸に議論を進展させる予定だ。
議長国イタリアは、途上国との格差問題を含めて人工知能(AI)の経済への影響、公共部門での活用策なども主要議題の一つに据える。新興国との関係強化も進めたい考えで、アフリカ連合やインド、ブラジルなどを招待した会議も開く。
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