北陸のフェーンで鳥取大雨=昨年8月、沖合で水蒸気増加―気象研
昨年8月に台風7号が近畿を縦断した際、鳥取県に特別警報が出るほど大雨が降った背景には、日本海の記録的に高い海面水温に加え、北陸で発生したフェーン現象があることが分かった。台風の湿った風が反時計回りに北陸の山々を越え、フェーン現象が起きて高温で乾燥した空気が北陸沖に流れ込んだ結果、海面から発生する水蒸気が増え、鳥取県上空に北から回り込んで大雨をもたらしたという。
気象庁気象研究所の辻野智紀研究官らが、観測データの解析とコンピューターによるシミュレーションで明らかにした。辻野研究官は「台風の影響でフェーン現象が起きるのはよくあることだが、その後に高温の空気によって沖合で何が起きるかはこれまで注目されてこなかった」と話している。研究成果は日本気象学会がオンラインで開く春季大会で22日に発表される。
昨年8月15日は早朝に7号が紀伊半島に上陸し、岡山、鳥取両県で積乱雲が連なる線状降水帯が発生。午後には7号が兵庫県を北上し、新潟県長岡市(寺泊)で最高気温が39.6度を観測する一方、鳥取県で山沿いを中心に大雨となり、鳥取市に特別警報が夕方から深夜まで出された。
昨年8月は山形県から能登半島にかけての沿岸海域で、海面水温が日本海側で観測史上初めて30度以上となった。
[時事通信社]
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