コッポラ監督待望の大作『メガロポリス』 メディアの評価二分 カンヌ映画祭
【カンヌAFP=時事】米ハリウッドの巨匠フランシス・フォード・コッポラ監督(85)が数十年かけて完成させた待望のSF大作『メガロポリス(Megalopolis、原題)』が、開催中の第77回カンヌ国際映画祭でメディアの評価を二分している。≪写真は、『メガロポリス』のプレミア上映会場に登場したフランシス・フォード・コッポラ監督〈中央〉と俳優陣ら。第77回カンヌ国際映画祭で≫
AFPが取材したあるプレス向け試写会では、ブーイングと熱狂的な拍手の両方が騒然とわき起こった。
ニューヨークを思わせる廃退した都市「ニューローマ」を舞台に展開する映画では、俳優アダム・ドライバー演じる不思議な能力を持つ建築家シーザーが、未来的なユートピアを再建しようと奮闘する。
この作品には古典から啓蒙時代に至る哲学者から現代の小説家、巨匠といわれる他の映画監督たちの作品まで、引用やオマージュが数多く詰め込まれている。
せりふは現代英語からシェークスピアの詩、ラテン語までが飛び交い、合間に宇宙からナチス・ドイツの集会までさまざまなアーカイブ映像が挿入される。スクリーン上の出来事と現実の上映会場が相互作用する場面さえあった。
メディアの反応はまちまちだった。エンターテインメント情報サイトのデッドラインは「真の大胆さに慄然とする、まさに現代の傑作」とたたえ、米芸能誌ハリウッド・リポーターは「驚異的な野心的大作以外の何物でもない」と評した。
一方、英紙ガーディアンは「詰め込みすぎで退屈、不可解なほど浅薄」と冷ややかで、同タイムズは「強烈に鼻につく演技、言葉を羅列しているだけのせりふ、醜悪な映像」と酷評した。
いずれにせよ哲学的で型破りなこの映画は、気軽に観賞しようとする多くの観客を深く混乱させるだろう。
1970年代の全盛期以降、コッポラ監督には不発だった作品もあるが、いまだ多くの人がその才能を信じている。
映画祭の総代表を務めるティエリー・フレモー氏は「彼にとってカンヌは重要であり、カンヌにとって彼は重要である」と語った。【翻訳編集AFPBBNews】
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