規正法、与党案提出で見送り論=自公なお開き、野党批判
自民、公明両党内で10日、政治資金規正法改正の与党案について、共同提出の見送り論が浮上した。焦点となっている政治資金パーティー券購入者の公開基準引き下げや、政策活動費の使途公開などで方向性は共有したものの、具体策で双方の主張にはなお開きがあるためだ。「クリーンな政治」を掲げる公明は、自民の姿勢について「消極的」と不満を募らせ、同一視されることを警戒。野党も踏み込み不足と批判を強めている。
「いつまでも与党で協議しても進まない。与野党協議に進む段階に来ている」。公明の石井啓一幹事長は10日の記者会見でこう強調。与党案の共同提出を目指すのか問われ、「予断を持って答えることはできない」と言葉を濁した。
自公が9日にまとめた与党案の概要では、パーティー券購入者の公開基準額や、政策活動費の公開方法などを明示しなかった。いずれも自民内の慎重論が強い論点だ。
10日の参院政治改革特別委員会で、立憲民主党の小沼巧氏は「踏み込みが中途半端だ」と酷評。共産党の井上哲士氏は、与党案が企業・団体献金の禁止に触れなかったことなどを挙げ、「抜本改革には値しない」と断じた。
公明の里見隆治氏は、パーティー券購入者の公開基準を現行の「20万円超」から「5万円超」に引き下げ、政策活動費の使途を示す明細書の作成を義務付けるなど、党独自の主張の説明に時間を割いた。党幹部は「自民派閥の裏金問題で『同じ穴のムジナ』と見られてはきつい」と指摘。自民が譲歩しない場合、単独での改正案提出の可能性に言及した。
これに対し、岸田文雄首相は10日、首相官邸で記者団に「早期の法案提出に向け、まずは自民として条文化の作業に全力を挙げ、公明に示していく」と強調した。ただ、与党案を了承した同日の自民政治刷新本部の会合は出席者がまばらで空席が目立ち、政治改革を巡る党内の関心の薄さが浮き彫りとなった。
◇「自公維」期待
自民は今後の与野党協議をにらみ、日本維新の会が重視する調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開も検討。自民国対筋は「維新への対応は他の野党とはおのずと異なる」と明言。「自公維」の枠組みで協議が進むことを期待する。
維新の高木佳保里氏は10日の参院特別委で、自民の姿勢を「改革とはほど遠い」と批判する一方、政策活動費の見直しで「情報公開を拡大するなら、歩み寄っていきたい」とも述べ、今後の対応に含みを残した。
[時事通信社]
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