ロシア軍が赤の広場パレード=ウクライナ侵攻中、核で威嚇
ロシアは9日、旧ソ連の対ドイツ戦勝記念日を迎え、モスクワ「赤の広場」で軍事パレードが行われた。自国によるウクライナ侵攻について「ナチスとの戦い」と強弁するプーチン大統領が演説し、核戦力が準備態勢にあると強調。今年も大陸間弾道ミサイル(ICBM)を登場させ、対立する西側諸国を核兵器で威嚇することに余念がない。
プーチン氏は「独ソ戦当時、ほぼ欧州全域がドイツ軍に協力していた」「軍国主義日本と戦った中国人民をたたえる」と発言。過去の戦没者だけでなく、ウクライナ軍の反撃によるロシア側の死者にも追悼をささげた。
軍事パレードでは、実際に戦闘に参加する将兵を含む9000人超が行進。装甲車などは70両以上で、侵攻前と比べて激減した。航空機の展示飛行は侵攻開始後初めて復活した。
プーチン氏は最近、欧州を射程に収める戦術核兵器の演習を実施するよう命じた。対立する北大西洋条約機構(NATO)では、フランスのマクロン大統領がウクライナ派兵の可能性に言及する一方、一部加盟国に「支援疲れ」も広がっており、核戦力で揺さぶる思惑がありそうだ。
観閲の招待には、共に戦った旧ソ連構成国のほか、親ロシアのキューバ、ラオス、ギニアビサウの3カ国首脳が応じた。プーチン政権が重視する新興・途上国「グローバルサウス」がロシアを支持していると訴えるには不十分で、国際的な孤立感は拭えない。
侵攻は3年目に入り、ロシアはウクライナの前線で主導権を奪還。東部ドネツク州では昨年から今年にかけて制圧したバフムト、アウディイウカに続き、要衝チャソフヤルをうかがう。パレードには愛国心を高め、ロシアが過去も現在も「戦勝国」だと国民に印象付ける狙いがある。
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