「裏金」44人の出欠焦点=衆院政倫審、審査議決へ
自民党派閥の裏金事件を巡り、立憲民主党など野党は8日、衆院政治倫理審査会の田中和徳会長(自民)に対し、安倍派と二階派の44議員を審査するよう申し立てた。自民は賛成する方針で、審査は議決される見通し。ただ、議決に強制力はなく、弁明するかどうかは各議員の判断に委ねられる。対象者からは不満の声も出ている。
申し立てたのは立民と日本維新の会、共産党。野党筆頭幹事の寺田学氏(立民)は記者団に「自民党が反省しているか、申し立てに対する態度に表れる」と指摘し、関係議員をけん制した。政倫審は9日に幹事懇談会を開いて対応を協議する。田中氏は開催時期について記者団に「なるべく早く」と述べるにとどめた。
44人は安倍派の萩生田光一前政調会長や衛藤征士郎元衆院副議長、二階派の二階俊博元幹事長ら。2月と3月に弁明を行った塩谷立・元総務会長や下村博文元政調会長ら6人は含めなかった。
政倫審で審査を行うには(1)議員本人の申し出(2)委員の3分の1以上の申し立てと過半数の議決―のいずれかが必要。4月の衆院3補欠選挙に立民が全勝し、野党の委員が3分の1に達した。
野党の申し立てに先立ち、自民の浜田靖一国対委員長は立民の安住淳国対委員長と会談し、賛成する方針を伝達。安住氏は記者団に「自民の決断は評価したい。裏金事件は全く終わっていない」と語った。
自民党は当初、政倫審での追加の弁明には応じない方針だった。転換したのは、補選を通じて世論の強い批判が鮮明になったことが影響したとみられる。党に打撃を与えた裏金議員に対する党内の反発を考慮した面もありそうだ。
ただ、対象者のうち閣僚経験者は「いまさら出ても意味がない。追及を続けたい野党の思惑に乗る必要はない」と強調。ベテランは「検察の捜査は終わっている。国対は野党としっかり交渉しないと駄目だ」と不満を漏らした。
[時事通信社]
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