習氏、「中国脅威論」払拭図る=貿易摩擦、対ロシアで温度差
【北京時事】中国の習近平国家主席は5~7日のフランス訪問で、両国の友好と市場開放をアピールし、経済安全保障の観点から欧州で広がる「中国脅威論」の払拭を図った。一方で、中国と欧州連合(EU)との間で続く貿易摩擦や、ウクライナ侵攻を続けるロシアへの対応に関しては、温度差も浮き彫りとなった。
「中国は欧州との関係を戦略的、長期的観点から捉えている。重要なパートナーだ」。習氏は6日、マクロン仏大統領、EUのフォンデアライエン欧州委員長と笑顔で握手を交わし、会談冒頭でこう語り掛けた。
しかし、欧州委が調査中の中国製電気自動車(EV)の過剰生産問題が議題に上ると、習氏は「問題は存在しない」と否定。議論は平行線をたどった。
マクロン氏との間で、ウクライナや中東で戦闘が続く中、今夏のパリ五輪期間中に「戦闘停止」を呼び掛けることで合意したものの、実効性は不透明。ウクライナの和平推進を目指し6月にスイスで開かれる多国間会議については、中国代表の出欠を含め、習氏は明確な態度表明を避けたもようだ。
マクロン氏は昨年4月の訪中時、ロシアに圧力をかけるよう習氏に求めた。しかし、その後、米国に対抗して中ロが結束を誇示する動きが目立ち、ロシアのプーチン大統領は、来週にも中国を訪問する。中ロの「蜜月」が再び演出される見通しで、欧州の対中不信感がさらに高まる可能性もある。
訪仏に続き、習氏は10日までの日程で、中国との友好関係を重視し、ロシアに融和的なセルビアとハンガリーを訪れる。
[時事通信社]
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