米銀行規制の展望は=大統領選の結果が左右も―識者に聞く(下)
◇米議会がカギ
S&Pグローバル・レーティングのスチュワート・プレッサー氏
―規制案への受け止めは。
昨年示された規制案は、市場から反対を含め多くの意見が寄せられた。銀行経営陣の懸念は米銀が世界の銀行に対して競争上不利になることだ。規制がない(ファンドなど)ノンバンクがリスクの高い融資を請け負う可能性もある。
―規制強化の影響は。
いくつかの銀行が自己資本の上積みを迫られる。競争力が下がらない限り、銀行の債権者にとって資本増強は良いことだ。しかし、株主からすると、自己資本利益率(ROE)や市場価値の低下につながるため魅力的な話ではない。
―米大統領選が議論に与える影響は。
答えは誰が大統領になるかという単純なものではない。大統領が規制を緩和したくても、議会が反対すれば議論は進まない。重要な点は、民主、共和のどちらの政党が議会で多数派を握るかだ。規制を巡りこれまで民主は強化、共和は緩和を選択してきた。トランプ前政権は規制を後退させたが、昨年の地銀の経営破綻を踏まえると、緩和は回避されるだろう。
―銀行危機は収束したか。
債券の含み損拡大を契機に預金流出が膨らんだ昨年のような危機は終わった。いくつかの地銀にとっては(在宅勤務普及で市況が低迷する)商業用不動産が焦点になっている。融資に占める同不動産向けの割合が30%を上回る地銀5行の格付け見通しを今年引き下げた。比率を低くすれば、問題を和らげることができる。
[時事通信社]
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