情報誌「能登」5月に復活=被災で休刊、教訓伝える
能登半島の知られざる魅力を13年以上にわたって伝え続けてきた季刊情報誌「能登」が、5月に復刊する。ほぼ全ての作業を一人で担ってきた編集長は能登半島地震後、やむなく休刊を選んだが、「こんな時だからこそ」と周囲の後押しを受け、地震の教訓を伝える誌面の編集に取りかかった。
編集長は金沢市出身の経塚幸夫さん(70)。地元新聞社で約30年にわたり石川県を見詰め続けてきた。20代後半で記者として穴水町に住み、能登の魅力を肌で感じると、異動後も能登半島を一周するサイクリング大会「ツール・ド・のと400」などを企画。30年以上続く人気イベントに育て上げた。
退社を機に妻の実家がある輪島市に引っ越すと、能登の暮らしに焦点を当てた雑誌の構想を思いついた。「これまでの経験を生かして、今までにない雑誌が作れるのでは」。2010年10月に創刊し、地元の飲食店や旅館に自ら足を運び続け、執筆から販売までほとんどを一人で担ってきた。
校了済みの次号を印刷しようとした矢先、能登半島地震が襲った。自宅兼編集室が被災し、金沢市に避難。紹介予定だった店舗も営業停止に追い込まれたと知り、「こんな状況で誰が読むんだ」と休刊を決断した。
再開のめどが立てられずにいたが、「こんな時だからこそ続けてほしい」とする周囲の言葉に励まされた。次は地震特集号にすると決め、資金確保のために寄付を募ると、100人以上が賛同した。「すごいプレッシャーだが、ありがたい」。1月半ばには知人の会社建物の一画を間借りし、作業に着手した。
「地震の取材は慣れないことばかり」と苦笑する経塚さん。日々状況は目まぐるしく変わり、構成の見直しを何度も迫られた。熟慮の末、空撮写真やスタッフの体験記を盛り込み、今回の地震で得られた教訓を伝える構成に決めた。「地震は必ずまた起きる。その時のために問題点を知ってもらうことが大事だ」と語る。
「能登」は次号で55号を迎える。経塚さんは「頭と体が動くうちは続けたい」と意気込んだ。
[時事通信社]
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