「大選挙の年」、財政規律に警鐘=コロナ禍支援は停止を―IMF
【ワシントン時事】国際通貨基金(IMF)は17日公表した財政監視報告で、新型コロナ禍を受けて各国が導入した生活支援策を即座に停止し、財政規律の回復を図るよう訴えた。2024年は多くの国が大統領や議員を選出する「大選挙の年」と指摘。歳出拡大圧力が強まる傾向にあると警鐘を鳴らした。
報告によると、世界全体の公的債務残高の対GDP(国内総生産)比は、コロナ禍前の19年の84.2%から23年には93.2%に上昇した。29年には98.8%に達する見込み。産業補助金などが膨らむ米国と、成長率低下や高齢化の逆風が吹く中国の公的債務増大が大きく響くと分析した。
特に24年は、米大統領選など世界の人口の半分に当たる88カ国で選挙が実施される予定で、「財政悪化リスクが顕著になる」と指摘した。
日本は23年の252.4%から29年には251.7%とやや改善するものの、コロナ禍前よりも大きく上回る見通しで、主要国では突出したままだ。
IMFは、多くの国で「コロナ禍やエネルギー価格上昇への対応をするための支援策が延長され、社会給付などがかさんでいる」と指摘。すぐに停止し、歳出抑制に努めるよう求めた。高齢化が進む先進国では、「社会保障の効率化」などを通じ、年金や医療費を抑制する必要があると強調した。
[時事通信社]
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