イスラエル軍、高い防空能力=周辺国との対立背景
イスラエル軍は周辺国との長年にわたる対立を背景に、「世界トップレベル」(欧米メディア)の防空能力を築いてきたとされる。今回、イランの無人機・ミサイルの大半を撃墜したことで、イスラエル軍は迎撃網の充実ぶりを改めて印象付けることになった。
軍によると、攻撃に使われた兵器は、無人機約170機▽巡航ミサイル30発超▽弾道ミサイル120発超など。軍は、イスラエル領内に侵入した無人機と巡航ミサイルは「なかった」としている。
迎撃では米英仏も支援し、米軍は無人機80機以上を撃墜。無人機と巡航ミサイルに関しては、イランからイスラエルに到達するにはそれぞれ9時間、2時間を要するとされ、戦闘機などで迎撃するのはそれほど難しくなかったとの分析が一般的だ。
一方、弾道ミサイルは十数分で飛来する上、宇宙空間から高速で落下するため、迎撃の難易度は高い。それでもイスラエル軍は「領内に入ってきたのは数発にすぎない」と発表。米軍もイランとイエメンから飛来した弾道ミサイルを少なくとも6発撃墜したと明らかにした。
イスラエルはパレスチナ自治区ガザやレバノンなどからの攻撃にさらされ、迎撃に習熟しているほか、弾道ミサイル用のレーダーも保有する。ロケット弾に対する「アイアンドーム」、主に弾道ミサイルに対処する「ダビデ・スリング」「アロー」など複数のシステムを持ち、今回はアローが弾道ミサイル迎撃の中核だったとみられる。
「イスラエルの技術力の優位性について説明したい」。イスラエルのコーヘン駐日大使は15日、東京で開いた記者会見で迎撃の成果を強調した。ただ、イランは再三にわたって事前に攻撃の意図を表明するなど対処の猶予をあえて与えた形跡がある。日本政府関係者は「イランはイスラエルの反撃を招かない程度の規模で攻撃した」と指摘しており、今後大規模な奇襲を受けるまでイスラエルの防空能力の評価は確定しないとの見方もある。
[時事通信社]
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