柏崎原発、再稼働へ依然ハードル=避難体制に懸念
東京電力ホールディングスは、停止中の柏崎刈羽原発7号機(新潟県)で、原子炉内に核燃料を搬入する作業を始めた。東電は同原発の再稼働をてこに経営再建を進める考えで、今後は地元自治体の同意が焦点となる。政府も県などに理解を求めているが、災害時の避難体制への懸念が根強く、再稼働に向けたハードルは依然として残っている。
同原発は2017年に6、7号機が原子力規制委員会の安全審査に合格。その後、テロ対策の不備が相次いで発覚したことで同委から事実上の運転禁止命令を受け、昨年12月に解除された。
同原発が1基再稼働すれば、火力発電の燃料費圧縮で年1100億円の収支改善効果がある。福島第1原発事故の賠償・廃炉費用を確保しなければならない東電にとって、運転再開は「悲願」だが、地元同意はその前提条件となっている。
首都圏への電力供給を担う柏崎刈羽原発の再稼働は、国のエネルギー政策にとっても大きな意味を持つ。斎藤健経済産業相は「国としても前面に立ち、原発の必要性などを丁寧に説明していく」と強調。3月には地元の理解を得ようと、資源エネルギー庁の村瀬佳史長官らを新潟県内に派遣した。
同原発が立地する新潟県柏崎市と同県刈羽村の議会は、3月に再稼働を求める請願を採択し、首長も理解を示している。一方、花角英世県知事は「1月の能登半島地震をきっかけに県民の間に不安感が広がっている」などとして、慎重な姿勢を崩していない。花角知事はかねて、国に対し事故時の避難道路整備を求めており、政府側の対応が知事の判断のカギを握るとみられる。
[時事通信社]
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