中国、西側連携にくさび=独首相厚遇、米にらみ欧州接近
【北京時事】中国の習近平政権が欧州への外交攻勢を強めている。14日からドイツのショルツ首相を中国に招き、経済面での関係強化を図るほか、習国家主席のフランス訪問も取り沙汰されている。米国がアジア太平洋で中国包囲網を狭める中、西側諸国の連携にくさびを打つ狙いだ。
「中独の理解と信頼を深め、さらなる関係発展の契機としたい」。中国外務省の毛寧副報道局長は12日の記者会見でショルツ氏の訪中についてこう語り、協力がもたらす利益を強調した。
ショルツ氏の訪中は2022年11月以来で、3人の閣僚のほか財界代表団が同行。ショルツ氏は北京に先立ち重慶や上海を訪れ、独企業の関連施設などを視察する。
ショルツ政権は、ロシア産ガスに依存してエネルギー危機に陥った反省から、経済面での中国依存を減らそうとしている。一方で、景気浮揚に向けて最大の貿易相手国である中国に頼らざるを得ない面もある。
同様に景気低迷に悩む中国にとっても、外資の呼び込みは急務。経済大国ドイツに接近することで、中国製の安価な電気自動車(EV)などを巡って対中警戒感が広がる欧州との関係改善につなげる思惑もある。
習政権の念頭にあるのは、日本やフィリピンと安全保障協力を深化させている米国の動向だ。11月の米大統領選を控え、民主・共和両党の対中強硬姿勢が今後一層強まると予想される中、西側諸国に「中国離れ」の動きが広がるのを防ぎたい考え。トランプ前大統領が返り咲けば、米欧の足並みが乱れるとの期待もありそうだ。
習政権は3月以降、欧州から要人を相次いで迎えている。3月下旬にはオランダのルッテ首相と北京で会談し、米主導の対中半導体規制をけん制。4月に入り、フランスのセジュルネ外相も訪中した。中国からは王文濤商務相がフランスやセルビア、イタリアを歴訪し、貿易拡大や経済協力を訴えた。
[時事通信社]
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