岸田首相、逃げの姿勢=自民裏金、野党は徹底追及
自民党が派閥裏金事件で関係議員の処分を決めたことを踏まえ、与野党の攻防は5日も続いた。野党は自民の追加調査内容などをただしたが、岸田文雄首相(自民総裁)らは逃げの姿勢に終始。森喜朗元首相の関与についても改めて否定した。自民が論点を「真相解明」から「政治改革」に移そうとしているのに対し、野党は徹底追及する方針だ。
首相は衆院内閣委員会で、安倍派に強い影響力を保った森氏に今週前半、電話で話を直接聞いたと説明。「具体的な(裏金づくりへの)元首相の関与を確認することは何もなかった」と述べ、森氏を巡る疑念の打ち消しを図った。立憲民主党の山岸一生氏は詳しい説明を求めたが、首相は「具体的なことは控える」と口をつぐんだ。
参院予算委員会の理事懇談会では、首相らの安倍派元幹部に対する再聴取について、自民が1枚紙の「報告」を提出。「誰が還付(還流)の継続を主導し、どのような議論を経て継続が決まったかつまびらかにならなかった」と結論付けた。
報告によると、安倍派の塩谷立元総務会長ら4人に聞き取りを実施。2022年4月にいったん中止が決まった還流について、4人が参加した同年8月の同派会合で「(還流の扱いが)話し合われたことは事実だが、明確な結論は出ず、やめる方針は変わらなかったというのが出席者の認識」「しかし結果的に継続された」と説明した。
還流が「相当以前から行われていたとの話があった」とも触れたが、それ以上深掘りする内容はなかった。
野党は「報告書の体をなしていない」と反発。立民の石橋通宏理事は記者団に「個々の証言内容も全く書かれていない」として再報告を求めた。
ただ4日の処分決定を受け、自民は政治資金規正法改正など政治改革の議論に重点を移したい考え。梶山弘志幹事長代行は5日の記者会見で「首相が先頭に立ち、党改革、法改正などに取り組む姿勢を示している。再発防止策の徹底に取り組みたい」と語った。
立民の安住淳国対委員長は記者団に、衆参両院に設置される政治改革特別委員会に関し「法改正や制度論と同時に真相解明を追及したい」と強調。特別委に首相が出席し、処分基準などを説明するよう求めた。
[時事通信社]
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