公明、早期解散をけん制=裏金受け「秋」期待、自民反発
公明党幹部から、岸田文雄首相が早期の衆院解散・総選挙に踏み切ることをけん制する発言が相次いでいる。自民党派閥の裏金事件で内閣支持率が低迷する現状では、連立を組む公明もあおりを受けかねないとの判断からだ。今秋に予定される自民総裁選から間を置かないタイミングが望ましいとの空気が漂うが、政権の存続が絡むだけに自民側には反発も出ている。
「信頼回復のトレンドを確認できるまでは解散すべきでない」。公明の山口那津男代表は27日、東京都内での講演でこう強調した。
衆院解散は首相の「専権事項」とされる。山口氏自身がこれに言及し、「普通はコメントしない」と断った上で発言した点に、裏金事件の収拾を一向につけられない首相への不満がにじむ。
山口氏は解散時期について、来夏の都議選と参院選に触れて「(時期を)離した方がいい」とも述べた。組織を挙げた態勢を組む支持母体・創価学会の事情を考慮し、大型選挙の重複は極力避けたいというのが公明の立場だ。
石井啓一幹事長も10日放送のBSテレ東番組で、自民総裁選に関して「(解散は)その後の秋が一番可能性が高い」と述べた。党関係者は「新しい『顔』で戦うのがベストというメッセージだ」と解説する。
近年、公明の国政選での比例代表票は減少傾向にある。次期衆院選は候補を擁立する11小選挙区のほとんどで日本維新の会と激突する見込みで、うち六つは維新の地盤である大阪府と兵庫県。「常勝関西」を誇った公明も「維新の勢いに勝るのは並大抵でない」(山口氏)と危機感が強い。
自公間には昨年、衆院小選挙区の「10増10減」に伴う新設区での候補擁立を巡って険悪なムードが漂った。最近も防衛装備品の第三国輸出に関して態度を硬化させた公明に、いら立った自民側から「連立解消だ」と不満が噴出した。
首相は総裁選前に解散に踏み切り、一定程度の議席を確保して総裁再選を勝ち取る戦略を描いてきた。超低空飛行を続ける現在も「6月解散」説などが飛び交うのはこのためだ。
「選挙を先送りしたいから混乱させようとしている」。山口氏らの発言に対し、首相に近い自民のベテランはこう不快感を表明。中堅も「解散権への口先介入だ」と険しい表情を見せた。
[時事通信社]
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