協力後ろ向きロシアに苦言=乱射1週間で米大使
モスクワ郊外のコンサート会場で140人以上の死者を出した22日夜の銃乱射事件から1週間を迎え、トレーシー駐ロシア米大使が29日、声明を出した。「(2001年)9月11日の米同時テロ後、最初に米国と連絡を取ったのがロシアだった」と強調。現在もテロ対策で協力する米国の立場を示す一方、応じず後ろ向きなロシア側に苦言を呈した。
3月上旬、在ロシア米大使館は「過激派が大規模な集会を標的にする差し迫った計画がある」と警戒情報を出したが、ロシア当局は自国民に注意喚起しなかった。ウクライナ侵攻が続く中での米ロ対立を背景に、情報が過小評価されたという見方が強い。
トレーシー氏は、民間人に対する脅威がある場合、米国は同盟国でないロシアにも情報共有する「警告義務」という政策を堅持していると説明。しかし「残念なことに一部のロシア当局者は、過激派組織『イスラム国』(IS)の脅威に関して米政府が提供した情報の有用性をねじ曲げ、公に否定した」と述べた。
プーチン政権は「イスラム過激派が実行した」と認めつつ、交戦中のウクライナに「黒幕」がいると主張。国内の引き締めに政治利用しようとしているとみられている。
連邦捜査委員会は29日、実行犯として拘束された被告らから「ウクライナの首都キーウ(キエフ)に到着して約束された報酬を受け取るため、襲撃後に国境に向かった」という供述を得たと発表した。ただ、被告らは拘束後に拷問を受けたと指摘され、自供の信ぴょう性に疑問を投げ掛ける声もある。
[時事通信社]
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