「大切な物」再び手元に=被災住宅、解体前に取り出し―ボランティア団体が奮闘・能登地震
能登半島地震では、29日までに石川県内の計約7万5000棟の住宅で全壊や半壊などの被害が確認された。今後、被害の大きな家屋の公費解体が順次始まるが、その前に自宅に残された「大切な物」を取り出そうと、ボランティア団体が奮闘している。
東日本大震災などさまざまな災害で支援活動をしてきた岐阜県高山市のNPO法人「Vネット」は、能登半島地震の被害住宅に残された物を取り出す活動を1月中旬から始めた。理事長の川上哲也さん(60)によると、雨にぬれて家財道具の状態が悪くなったり、家が崩れて取り出しにくくなったりするため、被災者から「早くやってほしい」などの要望が寄せられている。
今月24日、避難先の金沢市から輪島市に戻った森岡初江さん(77)は、がれきを重機で撤去するなどして、掛け軸や金庫を自宅から取り出してもらった。「危ない中でもうまく出してもらえて、本当に助かった」とほっとした様子だった。
義母の自宅から位牌(いはい)や印鑑が出てきた女性(59)は「(義母は)身一つで出てきたからお金も下ろせず、身分を証明する物もなかった。出てきてうれしい」と喜んだ。
「地震後は笑わなかったが、物を取り出してから笑えるようになった人もいる」と話す川上さん。お金では買えない大切な物を取り出すことで「少しでも笑顔を増やせれば」と意気込んでいる。
[時事通信社]
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