警察無線が伝えたパニック 米橋崩落
【ボルティモアAFP=時事】米メリーランド州ボルティモア港に架かる高速道路の橋、フランシス・スコット・キー橋に大型コンテナ船が迫っていた。≪写真は米メリーランド州ボルティモア湾に架かるフランシス・スコット・キー橋に衝突したコンテナ船≫
シンガポール船籍の貨物船「ダリ」は制御不能となり、止めることはできなかった。それでも警察官たちは、ドライバーが「死のわな」に陥るのを防ごうとしていた。
公共無線のライブ配信プラットフォーム、ブロードキャスティファイが公開した警察無線には、「キーブリッジを通行止めにしろ。操縦不能になった船が近づいている。制御可能になるまで全ての交通を止めろ」と伝える警察官の声が記録されていた。
警察官が高速道路の封鎖に取り掛かっている間、橋の修理作業員に言及する声も入った。「作業員がいるなら離れてもらわなければならない。現場監督に連絡を入れなければ」
だが、遅すぎた。当局は作業員6人について安否不明と発表した。
船体が橋の構造物に激突すると、無線にパニックになった声で連絡が入る。「橋全体が落ちた。スタート、スタート。誰か…誰でもいい。橋全体が崩れた」
別の警察官からも 「反対側に行けません。橋が落ちました」と連絡が入る。監視カメラの映像には、橋が崩落する様子が捉えられていた。
■住民たちの衝撃
今回の崩落事故をめぐっては、テロの可能性は否定されている。だが、地元住民のパトリシア・シスクさん(82)は、このような「不安」を覚えたのは、2001年9月11日の米同時多発攻撃以来だと述べた。
また、別の女性は、息子がもう少しで大惨事に巻き込まれるところだった語る。
ジェニファー・ウルフさん(41)の息子(20)は、ガールフレンドとけんかをした後、深夜に車で橋を渡った。後刻、仲直りをしようと引き返し、また橋を渡った。
「2度目に橋を渡り切った直後、ぴったり3分後に橋が落ちた」
ウルフさんは「息子はパニックになって、震えて泣きながら帰ってきた。私も泣きだしました」と説明した。
別の地元住民ポール・クラツァスさん(59)は、いつかこうした出来事が起きるのではないかとずっと恐れていたと話す。「きのうもこの橋を使う可能性があった。利用する際には『どうか、落ちませんように』と祈ることもあった」
また「ここはいつも船が行き来している。大抵は大きなタグボートが一緒だ」とし、「実際にこんなことが起きたのは初めてだ」と続けた。【翻訳編集AFPBBNews】
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