2024-03-25 14:44スポーツ

日本航空石川、地元に届けた「全力プレー」=待ち焦がれた舞台―高校野球

応援席へのあいさつを終え、ベンチに引き揚げる日本航空石川ナイン=25日、甲子園
応援席へのあいさつを終え、ベンチに引き揚げる日本航空石川ナイン=25日、甲子園

 0―1の九回裏。一塁ベンチ前で円陣を組んだ日本航空石川の宝田主将は、「ここで諦めたら駄目だ。この苦しい場面を、楽しんでやろう」と声を掛けた。「しゃー」というナインの大音声が甲子園にこだました。
 先頭の宝田が四球で出て、二盗に成功。さらに1死一、三塁と絶好の場面をつくった。しかし後続が遊撃併殺打に倒れ試合終了。主将は「1点を取ることの難しさを実感した」と悔しさをにじませた。
 1回戦最後のカードは、雨で2日順延した。待ち焦がれた舞台だった。グラウンドを去る際にはスタンドから大きな拍手が送られ、「いろんな人に感謝したい。自分たちの全力プレーが、テレビの前の方に届いてくれたら」。
 能登半島地震で甚大な被害を受けた地元は、なお日常を取り戻せないでいる。中村監督は当初、「生死を分けることではない」と練習を続けることに葛藤があった。だが輪島市の被災者からこんな言葉を聞いた。「思い切ってやることで、こっちも元気になる。被災者ムードを出すなよ」。だから一心に前を見て試合に備えた。
 自校だけでなく、近江など他校の応援団も駆けつけた。輪島市の祖母宅で被災した投手の福森は「応援がベンチに伝わり、いい雰囲気になった」と感謝。この日は出番がなく「次は甲子園のマウンドに立って、恩返ししたい」。涙を拭いながら約束した。 
[時事通信社]

力投する日本航空石川先発の猶明=25日、甲子園
力投する日本航空石川先発の猶明=25日、甲子園

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