2024-03-24 06:42国際

マウリツィオ・ポリーニさん死去=世界最高峰の伊ピアニスト、82歳

 【パリ時事】現代最高のピアニストの一人で、正確な演奏により「完全無欠」とたたえられたイタリア出身のマウリツィオ・ポリーニさんが23日、北部ミラノの自宅で死去した。82歳だった。地元メディアが伝えた。このところ体調が悪かったという。英BBCラジオはX(旧ツイッター)で「クラシック音楽界にとって大きな損失だ」と追悼した。
 1942年、ミラノ生まれ。父は著名な建築家。5歳でピアノを始め、名門ジュゼッペ・ベルディ音楽院を卒業した。60年に18歳で出場したショパン国際ピアノコンクールで圧倒的なテクニックを披露し、満場一致で優勝。審査委員長の巨匠アルトゥール・ルービンシュタインから「技術的には審査員の誰よりもうまい」と激賞された。
 その後、演奏活動から一時離れたが、68年に再開。アルバム「ショパン 練習曲集」(72年)は、完璧な技巧に裏打ちされた鮮やかな演奏で絶賛され、名声を不動のものにした。
 生涯を通じ、知的で研ぎ澄まされた響きを紡ぎ出した。ショパン、シューマンらロマン派のほか、バッハ、モーツァルトから現代音楽まで、幅広く手掛けた。中でもベートーベンの作品は、クラウディオ・アバド、カール・ベームら名高い指揮者とピアノ協奏曲を協演したほか、40年近い歳月をかけてピアノ・ソナタ全集を完成させるなど、ライフワークとなった。
 2002年、「ポリーニ・プロジェクト」と銘打ち、古典作品と現代音楽を組み合わせたユニークな演奏会を東京で全9回にわたって開き、大きな反響を呼んだ。10年に高松宮殿下記念世界文化賞を受賞した。 
[時事通信社]

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