2024-03-23 20:38スポーツ

大の里、苦い教訓を胸に=成長示して千秋楽へ―大相撲春場所

大の里(右)は阿炎をはたき込みで破る=23日、エディオンアリーナ大阪
大の里(右)は阿炎をはたき込みで破る=23日、エディオンアリーナ大阪

 単独トップの尊富士が敗れる姿を、大の里は控えの土俵下から見ていた。この時点で自身とは星の差一つに縮まる。頭には、12日目の苦い記憶がよみがえっていた。
 尊富士が初黒星を喫し、「いろいろと余計なことを考えてしまった」。集中し切れないまま臨んだ結びで琴ノ若に完敗した。身をもって得た教訓。この日は目の前の相手だけに注力すると誓った。
 阿炎の喉輪を受けても、ぐっと耐えた。突き手をはね上げ、冷静にさばいて3敗を堅持。「相手の動きをよく見ることができた」と表情が緩んだ。
 1月の能登半島地震で被災した石川県の出身。その後の初場所では優勝争いに加わって地元を盛り上げたが、役力士にはね返された。今場所は大関貴景勝の他に2関脇1小結を破り、幕内2場所目の土俵で成長の証しを示している。
 千秋楽は先場所で屈した大関豊昇龍との一番が組まれた。決定戦に持ち込める可能性もある中、「優勝はないと思っている」と、前日と変わらずに己に言い聞かせている。「欲を出さずに来場所につながるような相撲を取りたい」。23歳の大器は、虚心坦懐(たんかい)に土俵と向き合う。 
[時事通信社]

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