戦時下の「日常」暗転=ロビーに犠牲者、来場者パニック―モスクワ銃撃
「逃げろ」「何ということだ」。22日に銃撃テロが起きたロシア・モスクワ郊外のコンサート会場。ウクライナ侵攻中、市民は戦争やプーチン政権を批判さえしなければ、平穏な日常生活が保障されていたが、大統領選も終わり春が訪れた週末の夜が突如暗転した。
犯人がまず襲ったとみられるのは1階ロビー。現地メディアの映像によると、おびただしい数の犠牲者が血を流して倒れる中、来場者はパニックとなって出口に押し寄せた。
ヘリコプターが旋回し、緊急車両の回転灯に照らされる会場外では、混乱から複数の人が拘束された。取り押さえられたのは襲撃犯ではなく、会場警備員やジャーナリストだと伝えられている。
ロシアで死者を伴う大規模テロが起きたのは、2017年の北西部サンクトペテルブルクの地下鉄爆破以来。戦火が西部の国境州に及び、ウクライナの「破壊工作グループ」が攻撃を仕掛ける危険性も指摘されていたが、占領政策や戦時景気に伴う人手不足で、首都の警戒がおろそかになった可能性もある。
「われわれではない」「関与していない」。プーチン政権と敵対するロシア人武装勢力やウクライナ高官は、直ちに声明を出し、戦争とテロは別だと主張した。しかし「ウクライナによる破壊工作」(ロシアのメドベージェフ前大統領)との臆測は消えず、過激派組織「イスラム国」(IS)の犯行説も飛び交った。
[時事通信社]
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