対米にらみ「多国間協調」=途上国の糾合図る―中国全人代
【北京時事】中国・北京で開会中の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)は、習近平国家主席が掲げる「中国の特色ある大国外交」をアピールする場ともなっている。7日の王毅共産党政治局員兼外相の記者会見では、新興・途上国との連携を重視する「多国間主義」という言葉が繰り返し登場。米国との長期対立をにらみ、米主導の既存の国際秩序に不満を抱く新興・途上国の糾合を図る思惑がにじんだ。
「(新興・途上国を中心とする)グローバルサウスはもはや『沈黙の大多数』ではなく、国際秩序を変革する鍵だ」。王氏は会見で、キューバの通信社からの質問にこう返し、新興国の団結を訴えた。アフリカメディアの記者には「アフリカが思想上、真の意味で独立することを支持する」と語り、米欧の影響から脱却した独自の「発展の道」を歩むよう促した。
米中関係は昨年11月の首脳会談を経て落ち着きを見せている。ただ、今年11月の米大統領選を前に民主・共和両党の対中強硬姿勢が強まることも予想されるなど、不透明要因は尽きない。
中国外務省の毛寧副報道局長は8日の記者会見で、バイデン米大統領が「中国との競争」などに言及した一般教書演説を批判。「中米関係を競争によって定義し、中国の正当な発展の権利を制限することに反対だ」と強調した。
中国としては、対米関係が「なぎ」に入っている間に新興国との結束をより強固にしたい考えだ。欧州への接近も急いでおり、王氏は会見で、スイスやオーストリアなど6カ国に対する中国入国時のビザ免除措置を発表。習氏が近く欧州を訪問するとの観測も出ている。
[時事通信社]
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