2024-03-04 20:17政治

野党、証言「矛盾」に照準=政治とカネ、参院も首相防戦―予算委

 野党は4日の参院予算委員会で、自民党派閥の裏金事件を引き続き追及した。政治資金パーティー収入の還流(キックバック)再開を巡る安倍派元幹部による衆院政治倫理審査会での証言の「矛盾」などを指摘。岸田文雄首相は衆院審議に続き防戦に追われた。
 「どちらかがうそをついている」。立憲民主党の辻元清美氏は、西村康稔前経済産業相と塩谷立元総務会長の発言を取り上げ、こう指摘した。
 辻元氏が食い違いを指摘するのは、いったん廃止された還流の再開を話し合った2022年8月上旬の安倍派幹部協議だ。西村、塩谷両氏と下村博文元政調会長、世耕弘成前参院幹事長らが出席したとされる。
 1日の衆院政倫審で、西村氏は「結論は出なかった。経産相になったので、(再開の)経緯は承知していない」と説明。塩谷氏は「困っている人がいるので仕方がないというくらいの話し合いの中で継続になった」と述べた。
 辻元氏の追及に、首相は「食い違いについて私が判断することはできない」と答弁。「火の玉になってやるのではなかったのか」などとただされると「どういった方策が可能か考える」と述べざるを得なかった。
 2024年度予算案が2日に衆院を通過し、政府・与党内には「ひと山越えた」(自民幹部)と安堵(あんど)の声も出ていたが、立民は4日の参院予算委でも手を替え品を替え「政治とカネ」問題で攻勢を強めた。
 石橋通宏氏は、野党が求める自民党参院議員ら32人の参院政倫審出席の議決を指示するよう要求。小沢雅仁氏は、長崎幸太郎山梨県知事が自民党二階派から受け取った資金を政治資金収支報告書に記載していなかった問題の調査を迫った。
 首相はいずれも「本人の意向が尊重される」「(調査)対象に入っていない」とかわそうとしたが、野党側に繰り返し尋ねられると、「党に持ち帰り、検討させる」「実態把握を党としても考える」と答弁した。
 立民の蓮舫氏は、自民党の茂木敏充幹事長や新藤義孝経済再生担当相が、政治資金を「国会議員関係政治団体」から使途の公開基準が緩い「その他の政治団体」に付け替えていると指摘。「茂木派は法の抜け穴を使って裏金をつくっているのではないか」と疑念の目を向け、質問後の記者会見では「新たな裏金疑惑だ」とぶち上げた。
 これに関し、首相は参院予算委で「指摘された議員が丁寧に説明をすることが重要だ」と答弁。茂木氏は会見で「収支は適正に報告している」と強調した。 
[時事通信社]

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