米、ガザ上空から支援物資投下=バイデン氏、断食月までの休戦合意期待
【ワシントン時事】米中央軍は2日、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘が続くパレスチナ自治区ガザの上空から支援物資を投下したと発表した。食料危機や子供の栄養失調などガザで深刻化する人道状況を踏まえた措置だが、事態改善につながるかは不透明だ。
中央軍などによると、米軍のC130輸送機3機が3万8000食分の食料を投下。水や医薬品は含まれていない。バイデン米大統領は1日、ホワイトハウスでイタリアのメローニ首相との会談冒頭、「米国はさらに支援する」と述べ、既に支援物資投下を行っているヨルダン軍と協力し、食料などを空輸する考えを明らかにしていた。
ガザ北部では2月29日、支援物資を積んだトラックに殺到した住民多数が死亡。イスラエル軍の発砲が原因との見方が強まっている。バイデン氏は「物資搬入への反応を見ただろう」と、この事件に触れた上で「言い訳は無用だ。ガザへの援助は十分とは言えない」と指摘。海上輸送の可能性にも触れ、イスラエル側に人道支援拡大に向けた対応を迫る考えを強調していた。
国連の推計によると、ガザ住民の約4分の1に当たる少なくとも57万6000人が飢餓の危険にさらされている。米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は1日の記者会見で、投下は陸路の代替策ではなく「補完だ」と説明。支援拡大にはガザでの戦闘休止が必要だと訴えた。
ただ、バイデン氏は1日、ガザでの戦闘休止と拘束されている人質の解放を目指してカタールなどが仲介する交渉に関し、記者団に「懸命に取り組んでいるが、そこ(合意)には至っていない」と語った。交渉が難航していることを示唆した一方、10日ごろ始まるイスラム教のラマダン(断食月)までに合意が成立することを「期待している」と述べた。
[時事通信社]
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