2024-03-01 19:43社会

「毎日が内部被ばく」=元乗組員証言、集会で紹介―第五福竜丸被害70年・静岡

「第五福竜丸」が被ばくして70年を迎え開かれた「被災70年3・1ビキニデー集会」=1日午後、静岡市葵区
「第五福竜丸」が被ばくして70年を迎え開かれた「被災70年3・1ビキニデー集会」=1日午後、静岡市葵区

 米国が太平洋ビキニ環礁で水爆実験を行い、周辺海域で操業していた静岡県焼津市のマグロ漁船「第五福竜丸」の乗組員23人が被ばくしてから70年となった1日、「被災70年3・1ビキニデー集会」(原水爆禁止世界大会実行委員会など主催)が静岡市で開かれた。集会では、元乗組員による「船内では歯磨きや体を洗うのもすべて海水。毎日が内部被ばくだった」などの証言が紹介された。
 水爆実験では、第五福竜丸以外にも多くの日本漁船が被ばくしたとされる。付近を操業中の船に乗っていた父を亡くした高知県の下本節子さん(73)は、ビキニ環礁があるマーシャル諸島を訪問中で、ビデオメッセージを寄せた。実験で避難を余儀なくされた現地住民と交流し、「思いが伝わってきて、怒りを覚えた」と述べた。
 集会では、高知県の元船員が「帰港したら『マグロを投棄せよ』と言われ、非常に悔しい思いがした」と話していたことなども伝えられた。
 同日午前には、焼津市の弘徳院で、亡くなった第五福竜丸の元無線長、久保山愛吉さん=当時(40)=の墓で献花が行われた。
 2021年に87歳で亡くなった元乗組員、大石又七さんの義妹で、語り部として活動する河村恵子さん(76)は「この墓参が事件を知るきっかけになれば」と語った。 
[時事通信社]

「被災70年3・1ビキニデー集会」にビデオメッセージを寄せた下本節子さん=1日午後、静岡市葵区
「被災70年3・1ビキニデー集会」にビデオメッセージを寄せた下本節子さん=1日午後、静岡市葵区
元無線長久保山愛吉さんの墓に献花し、手を合わせる人たち=1日午前、静岡県焼津市の弘徳院
元無線長久保山愛吉さんの墓に献花し、手を合わせる人たち=1日午前、静岡県焼津市の弘徳院
マーシャル諸島のビキニ環礁で行われた米国の水爆「ブラボー」の実験=1954年3月1日、米軍撮影(第五福竜丸平和協会提供)
マーシャル諸島のビキニ環礁で行われた米国の水爆「ブラボー」の実験=1954年3月1日、米軍撮影(第五福竜丸平和協会提供)

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