G20財務相、声明採択できず=ウクライナ、ガザで溝―議長総括「不平等に対応」
![20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の閉幕後、記者会見に臨む植田和男日銀総裁(右)と財務省の神田真人財務官=2月29日、ブラジル・サンパウロ](https://img.sp.m.jiji.com/image/out/20240301at24S_p.jpg?updated=1709222819)
【サンパウロ時事】ブラジル・サンパウロで開かれていた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は29日夕(日本時間1日朝)、2日間の日程を終えて閉幕した。全会一致が原則の共同声明は採択できず、議長国ブラジルが議長総括の形で成果を公表した。ロシアによるウクライナ侵攻やパレスチナ自治区ガザを巡る地政学上の問題で、意見の溝が埋まらなかった。
今回はブラジルがG20議長国となって初めての財務相・中銀総裁会議で、日本からは植田和男日銀総裁と財務省の神田真人財務官が出席した。終了後の記者会見で神田氏は「地政学に関する文言について合意に至らなかった」と明かし、「残念だ」と述べた。
議長総括は世界経済に関し「ソフトランディング(軟着陸)する可能性が高まっている」との認識を示した上で、「戦争と紛争の激化」を下振れリスクに挙げた。ただ、各国の合意を得ていない注記事項として、財務相会議について「地政学的な問題を解決する最適な会議ではない」との意見を記載した。
これに関し、神田氏は「戦争や紛争は経済に大きな影響があり、経済を中心とするG20であっても扱うのは当然だ」と強調。「今後もしっかり議論していくべきだという考え方に違いはない」との見解を示した。
また、議長総括では「不平等」を重要な政策課題として位置付けると明記。国際機関での新興・途上国の発言力強化や、公正で累進的な課税に関する対話の促進を掲げた。ブラジルのアダジ財務相は29日の会議で、富裕層への国際課税の検討を呼び掛け、7月の財務相・中銀総裁会議までに声明として取りまとめる意向を示した。
[時事通信社]
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