2024-02-26 14:29国際

返り咲きで「米国第一」復活=同盟国、トランプ氏に身構え―自国優先で指導力低下も・米大統領選

 【ワシントン時事】トランプ前米大統領は11月の大統領選に向けた南部サウスカロライナ州の共和党予備選で勝利を収め、党候補指名に大きく前進した。トランプ氏が返り咲いた場合、米国の外交・安全保障政策はバイデン現政権が進める「国際協調」から「米国第一」へと逆戻りする見通し。同盟軽視の姿勢が強まれば、国際社会での米国の指導力低下は必至で、国際情勢のさらなる不安定化を招きそうだ。
 ◇プーチン氏を称賛
 「守らない。好きにやるようロシアをけしかける」。トランプ氏は10日の集会で、国防支出が基準に満たない北大西洋条約機構(NATO)加盟国がロシアに攻撃されても守らないと脅したという、大統領在任中のエピソードを披露。負担増を受け入れさせたことを自身の「手柄」として誇示した。
 ウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領を「なんて賢いんだ」と称賛し、戦闘を「24時間以内に終わらせる」と豪語するトランプ氏の復権に、米国の同盟・友好国は身構える。トランプ政権で大統領補佐官(国家安保担当)を務めたジョン・ボルトン氏は「トランプ氏はNATO脱退を試みるだろう」と警鐘を鳴らす。
 ◇対中優遇関税撤回も
 「中国は米国を利用しようとしていたが、われわれがそれを変えた」。トランプ氏は2月上旬に放映された米メディアとのインタビューで、対中関係をこう振り返った。中国からの輸入品に一律60%の関税を課す方針だとの報道についても、「もしかしたら、それ以上かもしれない」と否定せず、中国の習近平政権をけん制する。
 トランプ氏の公約集「アジェンダ47」には、優遇関税での輸入を認める「最恵国待遇」の撤回など、中国にとって厳しい政策が並ぶ。バイデン政権の対中政策が「米国を滅ぼしつつある」とも批判し、自身が掲げる保護主義的な経済政策が米国の製造業復活につながると主張する。
 ◇政策「先鋭化」か
 ウクライナ侵攻や緊迫する中東情勢への対処に追われるバイデン政権は、中国との対話を維持し、一定の緊張緩和へとこぎ着けた。だが、トランプ氏の復活で米中対立が深まれば、衝突への懸念が再び高まるのは避けられない。
 米デューク大のピーター・フィーバー教授(政治学)は米外交誌への寄稿で、トランプ氏が政権2期目でより忠実な人物を要職に起用する方針であることなどを挙げ、政策が「先鋭化する」と分析。既存の秩序を揺るがす機会が増えるため「返り咲けば、米国と敵対する国が最大の恩恵を得るだろう」と予測している。 
[時事通信社]

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