プーチン政権、侵攻2年「沈黙」=選挙前に世論刺激せず―ロシア
ロシアではウクライナ侵攻開始から2年の24日、政権による公式行事は一切なかった。主要テレビは「節目」に軒並み沈黙。「侵攻を支持しつつ停戦交渉を求める」世論を刺激せず、プーチン大統領の通算5選を期す3月の大統領選に向けて「日常」を演出する政権の思惑が透けて見える。
昨年2月はプーチン氏が戦時体制を前面に押し出した年次教書演説(21日)、祝日「祖国防衛者の日」を控えてモスクワの競技場で開いた愛国集会(22日)と行事が目白押しだった。今年はタイミングをずらした年次教書演説(29日)にとどまる。
独立系メディア「アゲンツトボ」が25日に指摘したところによると、国営テレビも政府系「第1チャンネル」も2年たったことについてはほぼ黙殺。ショイグ国防相がロシア軍部隊を視察したことは触れたが、日々の報道の域を出なかった。
主要テレビには、クレムリン(大統領府)の担当部門から「編集方針」が伝えられている。
アゲンツトボは今回の現象について「世論の変化と停戦論の高まりを受けた」と分析した。最近のある調査では、3月に当選する次期大統領の最優先課題を「侵攻の終結」と答えた人が26%に上ったという。
独立系世論調査機関レバダ・センターの最新調査では「ロシア軍を支持する」が77%だった。国民にリベラル派より保守派が多いことを反映しているが、同時に「停戦交渉を始めるべきだ」という意見も52%に上った。プーチン氏が選挙を控えて「停戦」の可能性に改めて言及するようになった背景には、世論への配慮があるもようだ。
ロシア全土では24日、戦時の言論統制にもかかわらず、一部で政権への抗議デモが起きた。獄死した反体制派指導者ナワリヌイ氏の追悼行動が中心だったが、反戦や動員兵帰還の訴えもあり、人権団体OVDインフォによると、拘束者は14都市で52人に上った。
[時事通信社]
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