2024-02-26 05:23経済

輪島塗、伝統絶やさぬ=若手結集、各地で即売会

伊勢丹新宿店で開催中の輪島塗の展示即売会。作品を手にするのは塗師屋の大工治彦さん=21日午前、東京都新宿区
伊勢丹新宿店で開催中の輪島塗の展示即売会。作品を手にするのは塗師屋の大工治彦さん=21日午前、東京都新宿区

 能登半島地震で壊滅的な打撃を受けた「輪島塗」の伝統を絶やさぬよう、被災を免れた器の展示即売会が各地で開かれている。技術を受け継ぐ職人は高齢者が多く、被災をきっかけに引退を考える人もいる。「生産再開までのつなぎとなる仕事と資金が必要」(輪島漆器青年会)と立ち上がったのは、次代を担う若手らだ。
 21日に伊勢丹新宿店(東京都新宿区)で始まった「堅牢(けんろう)優美な作品展」には、わんや皿、重箱など、6団体の作品約120点が並ぶ。輪島塗は丈夫さが特長で、がれきの中から救い出された器も少なくない。
 輪島塗は100以上の工程から成り、それぞれを専門の職人が分業しているが、地震では多くの職人が道具や材料、そして家を失った。展示会を提案した大工治彦さん(36)は、「塗師屋(ぬしや)」と呼ばれる輪島塗の企画・生産の取りまとめ役。「生産が再開できるようになるまで在庫を資金化して持ちこたえる。事業規模の小さい職人の方々を支えたい」と話す。
 同日は名古屋栄三越(名古屋市)でも「輪島の未来のために」と銘打った展示会がスタート、9人の職人と10工房・漆器店が約600点の作品を販売する。「木地師(きじし)」の辻正尭さん(41)は、「お客さまに直接、輪島塗の良さをお話ししたい」と意気込む。
 3月以降も大丸心斎橋店(大阪市)や高島屋日本橋店(東京都中央区)で展示会が相次ぐ。複数の展示会に出品した塗師屋の男性(41)は、震災を機に、輪島塗の要とも言われる「下地(したじ)」の技術を学ぶため工房に弟子入りしたという。「漆を一から見詰め直したい。震災後の輪島塗は、これまでとは違ったものになるだろう」と話している。 
[時事通信社]

伊勢丹新宿店で開催中の輪島塗の展示即売会=21日午前、東京都新宿区
伊勢丹新宿店で開催中の輪島塗の展示即売会=21日午前、東京都新宿区
名古屋栄三越の展示会で販売されている輪島塗=21日午前、名古屋市中区
名古屋栄三越の展示会で販売されている輪島塗=21日午前、名古屋市中区

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