「デジタル化、平時に備えを」=災害頻発も、浸透に課題―AI防災協議会の臼田理事長・震災13年
![インタビューに応えるAI防災協議会の臼田裕一郎理事長=1月31日、茨城県つくば市](https://img.sp.m.jiji.com/image/out/20240225at41S_p.jpg?updated=1708806907)
頻発する自然災害に対応するため、人工知能(AI)を活用するなど、防災・減災のデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた取り組みが進む。一方、各自治体でデジタル化が浸透していないとの指摘もある。AI防災協議会の臼田裕一郎理事長は「平時の段階で備えておくべきだ」と話す。
同協議会は2019年に設立。自治体や民間企業、識者が参加し、防災・減災へのAIなどの有効活用に向けた課題を協議する。同年に千葉県内で大きな被害が出た房総半島台風では、LINE上でAIが被災者からの問い合わせに答えるチャットボットを開発。行政側の負担削減につながった。
数々の災害対応に当たってきた臼田氏は、能登半島地震でも内閣府の災害時情報集約支援チーム(ISUT)の活動などで現地入りした。石川県では、避難所の情報収集が課題となっていた。
臼田氏によると、県の総合防災情報システムに被災自治体が避難人数などのデータを入力すれば他の支援機関と共有できる仕組みになっている。
しかし、土砂崩れで道路が寸断されるなどした影響で、自治体側が正確な人数を把握できず、十分に入力できなかった。そのため、自衛隊や災害派遣医療チーム(DMAT)がそれぞれデータを作成し、複数のデータが存在する結果に。物資支援をする側は避難者の正確な人数が分からず、ニーズに合わせた支援ができないなどのデメリットが生じる恐れも一時あった。
臼田氏は「システムがあっても入力できなければデジタル化したことにならない」と指摘する。DX導入の過程として、まず資料などをデジタル化することが必要だが、達成できていないことが多く、「AIが活躍する状態には至っていない」と漏らす。
能登半島地震での対応を踏まえ、臼田氏は全国でデジタル化を浸透、定着させる取り組みを進めたいという。「どんな災害でも8割は同じ対応で、2割がその災害に特化した対応となる」とし、デジタル化で作業を効率化し、その2割に人数をかけられるようにしたいと話す。
[時事通信社]
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