「地域おこし隊」模索続く=被災中高生の学習支援―離散に無念さも、石川・輪島
能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県輪島市で、都市部から移住した「地域おこし協力隊」の隊員らが、被災した中高生への学習支援を続けている。県立高の定員割れが課題となる中、学習環境向上に努めてきたところを襲った地震。転校を検討する生徒もおり、隊員らは無念さも抱えつつ支援に力を尽くす。
金沢市出身の中川雄介さん(41)は「地域格差なく質の高い学びができるように」との思いから民間の学習塾を辞め、2022年4月に輪島市に移住。県立高の魅力向上のために開設された「学習センター」で、隊員として勉強をサポートしている。両親の実家が同市にあり、幼い頃から慣れ親しんだ土地で働きたいと考えていたという。
だが、元日の地震でセンターは「天井がはがれ、室内がぐちゃぐちゃ」となり、放課後に自習する生徒の質問などに応じられなくなった。「毎日の勉強のサイクルが崩れてしまう。避難先では集中しづらいので、学力差がさらに広がってしまうのでは」と懸念する。
最近は1、2年生から転校に関する相談を受けることもあるという。「本当に転校した方が良いのか」「どの高校にすべきか」。悩みは切実で、「進学や将来のことを考えると、生徒自身が納得して決断できればいいのかな」と心中を打ち明ける。
アパレル業界を辞め、輪島市にUターンした小浦明生さん(40)も隊員の一人。数年前、同市で10代の自殺が続いたことをきっかけに、22年春から中高生の居場所づくりに携わる。しかし、県立輪島高の近くで運営する10代向け施設「わじまティーンラボ」は地震で玄関の天井が落ちるなどして休館を余儀なくされた。
生徒らが避難生活で離れ離れになっていることに「避難した方が安全だが、心理的、精神的には不安だと思う」と話す小浦さん。1月14日から同校内に「みんなのこども部屋」を臨時開設したが、利用者のほとんどは小学校低学年の児童という。「繊細な時期を送る中学生の居場所づくりが今の課題。一人ひとりに目を向け、接点を持ち続ける人が地域にいなければ」と、施設の早期再開を誓った。
[時事通信社]
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