世界経済「軟着陸」へ協調模索=来週、G20財務相会議
20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が28、29両日にブラジル・サンパウロで開かれる。コロナ禍後の歴史的なインフレ高進は和らぎつつあり、世界経済は安定的な成長軌道への「軟着陸(ソフトランディング)の道」(国際通貨基金=IMF=)が見えてきた。
ただ、長期化するウクライナ危機に加え、中東情勢の緊迫化、中国経済の低迷など不安要因も山積。ロシアへの対応で参加国の意見が割れる中、混乱回避へ政策協調がどこまで進むかが焦点だ。
期間中には、先進7カ国(G7)財務相・中銀総裁会議も開く見通し。ウクライナへの支援継続に向け、ロシアの凍結資産を財源に活用する案や、対ロ制裁の強化などを検討する。
G20では、地政学的リスクの高まりが再びエネルギーや食糧などの供給網(サプライチェーン)の混乱を招かないように対応を議論する見通し。中東情勢を巡っては、イエメンの武装勢力フーシ派の商船攻撃による紅海周辺での物流混乱が高インフレの再燃につながる恐れが出ている。
今回は、グローバルサウスの代表格であるブラジルがG20の議長国となって初めての財務相・中銀総裁会議。同国は主要議題に(1)貧困・飢餓の撲滅(2)気候変動対策を含む持続的な開発(3)国際機関のガバナンス改革―を設定しており、会議では途上国支援を強化するため、世界銀行など国際開発金融機関(MDBs)の改革を取り上げる。先進国が主導してきたMDBsで、新興国・途上国の発言権を拡大し、支援のための融資能力の増強を目指している。ただ、資金拠出など負担に関する先進国との溝は埋まっていない。
会議には、日銀の植田和男総裁が出席する。鈴木俊一財務相は、政治資金問題などで遅れている2024年度予算案の国会審議への対応を優先し、欠席する方向だ。
[時事通信社]
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